その年は、12月になってもまだ雪が降らない不思議な年でした。
モミの木の森は、緑の美しさを保ったまま大きくそびえ立っていました。
12月6日その日、キリスト教徒であった聖ニクラウスは、モミの木の森の中で佇んでいました。
彼の教会には冬を迎える前に多くの子供達が戦争から逃れてやって来ていたのです。
教会にはそれほど多くの食料もなく、夏とは違い森の中には木の実もなく、動物たちもどこかに隠れていて、子ども達に満足な食事を与えられるような状態ではありませんでした。
聖ニクラウスは、避難してきた子ども達に少しでも栄養ある食事を与えたいと思い、雪が降る前のモミの木の森へ来ていたのでした。
しかし思うように食料となる木の実もなく、動物もいません。手に入ったのはクルミが8個とどんぐりが12個だけです。
「これではあの子ども達がお腹いっぱい食べることができない。何の罪もないのに、戦争に巻き込まれ、親を失ったあの子達に、何とか生きる希望を与えたいのだが…。」
聖ニクラウスはモミの木を見上げながら、そう呟きました。
その後も聖ニクラウスは食料となるものを探し続けましたが、彼の食料袋はいっこうに重くなることはありませんでした。夕闇が迫る中、彼はもう帰ろうと思い、教会の方へ歩いて行きました。
するとその時です。彼は、モミの木の根元で伏せている子どものトナカイを見つけました。どうやらケガをしているようです。
「あぁ、これは天の恵みか!子ども達にお肉を食べさせてあげられるぞ!」
聖ニクラウスは、子どものトナカイの元へ駆けて行きました。その右手にナイフを持ちながら…。
トナカイの目の前に立った聖ニクラウスは、右手に持ったナイフを逆手に持ち替えて、トナカイの首にナイフを刺し降ろそうとしました。聖ニクラウスはこのとき、子ども達にお腹いっぱい食べさせてあげたいという一心でした。
しかし、振り下ろした右手が途中で止まったのです。
「ク〜ン」
それはトナカイの声でした。
聖ニクラウスは、トナカイの声に一瞬ビクッとし、そして次の瞬間、トナカイと目が合いました。トナカイの目は語っています、「助けてください」と。
聖ニクラウスは思いました。
このトナカイもまだ子どもだ…。私の教会にいる子ども達と同じなのだ。私はこのトナカイも、そして教会に助けを求めに来た子ども達も殺してしまうところだった…。私は命の伝道師である牧師ではないか。その私がまだまだ生きていける子どもの命を奪ってどうするか。
聖ニクラウスは、子どものトナカイが負っていた右前脚の傷を自分の法衣を破って手当てをしました。教会に伝わる秘伝の薬も塗ってあげました。
子どもトナカイは、その間ずっと大人しくしていましたが、薬を塗って法衣で傷を包んであげると、何とか立ち上がり、山の奥へ帰って行きました。
教会へ帰った聖ニクラウスは、この話を子ども達にお話ししました。子ども達からの、神父さんは優しいね、こんな優しい神父さんに会えてよかった、神様ありがとう、という言葉を聞いて聖ニクラウスの気持ちはとても暖かくなりました。
その日の夕食は、クルミを砕いて小麦粉で練り焼いたクルミパンとどんぐりのクッキーでした。
「あっ、神父さん!雪が降ってきたよ!」
「ほんとだ!」
子ども達は笑顔で、しんしんと降ってくる雪を見ていました。
みんなが寝静まった、その日の夜。
教会のドアが、カンカン、と鳴りました。まるで木と木がぶつかったような音です。
カンカン
カンカン
その音に聖ニクラウスは目を覚ましました。こんな夜更けに誰だろう、そう思いながら聖ニクラウスはドアを開けました。
外は雪が降り積もり、ほのかな月明かりでも明るく見えました。しかしそこには誰もいません。風のせいだったのだろうかとドアを閉めようとした時に、スーッと何かがドアのところに近づいてきました。滑るように近づいてきたそれは…ソリでした。雪が降り、納屋に置いてあったソリが、風に押されるかのように滑ってきていたのでした。
なんだ、ソリが風に押されてぶつかっていたのか…
聖ニクラウスは一人つぶやいて、ソリを持ち、納屋の方へ歩いて行きました。
そこで聖ニクラウスは不思議な光を見つけました。小さな丸い二つの光が、納屋の暗闇の中で光っています。
あの光は何だろう、聖ニクラウスは納屋の中に入っていくと…、そこにいたのはその日の夕方に助けたトナカイでした。その前右脚には破れた法衣がしっかりと巻かれていました。
「おぉ、おぉ。元気になったのか。良かったなぁ」
聖ニクラウスはトナカイに微笑みかけました。
トナカイは…もちろん、無表情でしたが、聖ニクラウスの顔を見るやいなや、納屋から出て、すっかり雪がやみ、月と星が空に輝く森の方へ歩き出していきました。
「これ、どこへ行く」
聖ニクラウスがそう言うと、子どもトナカイは振り向き、二人の目は合いました。
ついてきてください。
トナカイがそう言っているように見えました。
聖ニクラウスは、ソリをひきながら、トナカイのうしろをついていくと、見たことのある場所へたどり着きました。そこは夕方、聖ニクラウスが子どものトナカイを助けたモミの木のところでした。
モミの木の枝には雪が積もり、緑の木が真っ白くなっています。
「このモミの木の下で、ワシらは出会ったのだなぁ」
と聖ニクラウスはトナカイに言い、モミの木を見上げました。
モミの木の頂きを見たちょうどその時、星の光が聖ニクラウスの目に飛び込んできました。あまりに強烈な光だったので、聖ニクラウスは眩しさのあまり、目を閉じ、5〜6歩後ずさって、尻もちをついてしまいました。
聖ニクラウスは、なんども瞬き(まばたき)をして、もう一度モミの木の方を見ました。
すると…
なんということでしょう…
雪で真っ白になったモミの木の枝という枝に、たくさんのキャンディーやクッキーが置いてあり、たくさんのパンやバケットも置いてありました。
木の下には、リボンもついてキレイに包まれた大きな箱や小さな箱が所狭しと並べて置いてありました。
月の明かりと雪の明かりに照らされて、モミの木はとても輝いているように見えました。
「これは…なんという慈悲なのだ。なんという慈愛なのだ。神よ、おぉ神よ!」
聖ニクラウスは両の手を組み、何度も何度も天に向かって感謝の気持ちを伝えました。
そして子どものトナカイの方を見ましたが…そこには子どものトナカイではなく、大きな角をたたえた立派なトナカイがいました。
「お前は、神からの使いだったのだな。このような恵みを本当にありがとう。子ども達の喜んだ笑顔が、お前のおかげで見れそうだよ」
聖ニクラウスはそう言うと、くしょんと大きなくしゃみをしました。起きたままの姿でしたので、彼はパジャマしか着ていなかったのです。
立派になったトナカイが近づいてきて、聖ニクラウスに皮の袋を差し出しました。その中にはとても暖かそうな真っ赤な服が入っていました。
聖ニクラウスは、彼が持ってきたソリにたくさんのプレゼントを積み、たくさんのパンやお菓子を積みました。立派になったトナカイは、ソリを力強くひき始めました。
向かうはもちろん、子ども達の待つ教会です。
真っ赤な服を着た聖ニクラウスは、ふと振り返ってモミの木を見ました。
枝の上の雪が月明かりに照らされ、モミの木全体が輝いているようでした。
そしてモミの木の頭上には美しい星が輝き、まるで木の頂きの上で輝いているように見えました。
聖ニクラウスは思いました。
世界中の子ども達が、このモミの木のように明るい未来を感じて生きていけるよう、多くの子ども達が笑顔になれるよう、年に一度の奇跡を届けよう、と。
こうして、トナカイのひくソリに乗ったサンタクロースが年に1回、世界中の子ども達に奇跡を届けるようになったとか、ならなかったとか…。
さて、そんなクリスマスの時期です。
どうにもあんまりキリストさんの誕生日とは関係ないようで、後々いろんな思惑の中で、12月の出来事だからどうせなら一緒にしてしまおう的な感じになったようですね。
なので、サンタさんとキリストさんはあまり関係がないようです。もちろんサンタさんはきっとクリスチャンなので、関係がないことはないのでしょうけどね。
ということで、特に信心から来るわけでもない、ただの「お祭り騒ぎの口実」となっている庶民のクリスマスですが、御多分に洩れず(笑)、みかんせいでも
「クリスマス会」をします!
詳しくは、またお知らせを配布しますので、そちらをご覧ください。
そこで皆さんにお願いがあります。
写真でもお分かりのように、
なんと「ツリーだけあってオーナメントがない!」という状態です。
僕は買おうと思ったのですが、他のメンバーから「生徒達に持ってきてもらいましょう」という意見が出て、えーっ?って思ったのですが、そうなりました。
そこで皆様にお願いがあります。
未来に輝く子ども達のために「オーナメントをください!」
皆様のご家庭で1つずつ頂けるとなんと100個以上のオーナメントが集まります。
100個以上のオーナメントがあるということは、
100個以上の笑顔が子ども達に溢れるということです。
子ども達は一つ一つのオーナメントを本当によく見ています。
この観察力をどんぐりや関数問題にも欲しいくらいです…。
1つ1つのオーナメントが一人一人の子ども達を笑顔にする
こんな嬉しいことってありませんよね。
それこそ年に1度の「嬉しい奇跡」になると思いませんか。
皆様の優しさで、裸のツリーを世界で一つのクリスマスツリーにしていきましょう。
あなたの優しさが、子ども達を笑顔に変えるツリーを作るのです!
それではまた、次の機会にお会いしましょう
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