Push と Press

PushとPress

両方とも日本語にすると「押す」という意味があります。

でも意味合いは違います。

 

pushは「(後ろから前方に向かって)押す」となり、「推し進める、のし上がる」となるのに対して、

pressは「(上方から下方に向かって)押す」となり、「押し付ける、圧力を加える」となります。

 

背中を後押しするのは”push"ですが、

上から押し付けるのは"press"となります。

 

大人として、子どもと接するときに、

”push”なのか

"press"なのか…

 

言葉一つにしても、

態度一つにしても、

応援一つにしても、

期待一つにしても、

どちらになるかは受け取る側次第でしかありません。

 

"press”"の派生語は”pressure"(プレッシャー)です。

過度に大きい力は、相手を「押しつぶし、平らにしてしまう」こともあります。

「大きい力」の部分を、「大きな期待」に変えて読むと…ちょっと怖いですね。

 

でも…

"press"には、「手を握る」や「抱き寄せる」という意味もあるんですよ。

 

過度の大きい力は、上方から押し付けて、押しつぶすことにもありますが、

適度に大きい力は、上方から握りしめ、包み込むことができます。

 

大人として、子どもと接するときに、

”push”になっているか

"press"になっているか…

それは接する私たちの「心の押しの強さ」一つなのかもしれませんね。

 

「押す」といえば「押忍」を連想します。

「押忍」とは「自分を押さえ、耐え忍ぶ」という武道の言葉です。

 

Pushするにしても、

Pressするにしても、

一旦ググッと堪えてみましょう。

 

そうすることで、

自分の鏡である「目の前の相手」がよく見えるかもしれません。

怒りには反発

侮蔑には反感

柔和には温和

慈悲には尊敬

そういったものが返ってくるかもしれません。

 

子どもの努力や頑張りを認めることで

子どもの過去と現状を受け入れることで

とても気持ちが楽になると思います。

 

結局今見えているものは「自分の心が生み出したもの」に過ぎないのです。

であるならば…楽しい方がいいに決まってますよね。

 

そうそう…

陶芸をしたことがある方なら分かると思いますが、

ろくろの上に置いた粘土は、

何度も「押しつぶしては伸ばし、押しつぶしては伸ばし」を繰り返し、

粘土の中に「芯」を作ってから、自分の作りたい作品の形に仕上げていきます。

 

このとき「力任せ」に押しつぶしてしまうと、

粘土がグチャグチャになってしまい、

芯もできないし、作品にもなりません。

程よい力加減で、手のひらを使って押していきます。

押し潰して小さくなった粘土を、

今度は両手で包み込むようにして伸ばしていきます。

なんでもそうですが、程よい力加減が大事なんですよね。

 

子どもたちがどんな「作品」を作っていくかは、子ども達次第ですが、

芯のある人物になるためには、

押しつぶしては伸ばすを繰り返した粘土のように、

何度も成長と挫折を繰り返していきます。

 

押し込むだけでは、芯のある土台はできません。

両手でしっかりと包み込み、伸ばしていくことも必要なのです。

 

叱ることと褒めること

期待することと認めること

なんでもそうですが、

陰と陽がセットなんです。

 

それではまた、別の機会にお会いしましょう。