1月にもなると、
受験生でなくとも「進路」という言葉を耳にするようになると思います。
もっとも受験生はもう「進路」についてはほぼ決めているので、
その下の学年の子達が意識し始めることではありますが。
進路を決めるとき、
よく「何をしたいの?」と聞かれることが多いかなと思います。
そして多くの子達は、
「介護士になりたい」とか
「看護師になりたい」とか
「保育士になりたい」とか
「公務員になりたい」とか
「先生になりたい」とか
なぜか「ある職業をしている人になりたい」って応えます。
これ自体悪いことではないのですが、
でも何か拍子抜けする気持ちになります。
というのも、
「なぜその職業に就きたいの?」と質問すると、
「親が言ったから」とか
「将来苦労しなさそうだから」とか
「お金がもらえそうだから」とか
「子どもが好きだから」とか
こういうような返答が返ってきます。
これ自体悪いことではないのですが、
でも大事なポイントが欠落していないかって思います。
当然ですが、世の中にはたくさんの仕事があります。
きっと僕たちの知らない仕事もたくさんあります。
先日、友人と話していたのですが、
彼は最近「木こり」と知り合いになったそうです。
木を切る人です。
その人は、木を切って炭を作っているそうです。
「木こり」という言葉は昔話やおとぎ話くらいでしか聞かない言葉ですが、
現代の世の中にもそれを生業としている人はいるんです。
その人がなぜ木こりをしているかというと…
「山が好きだから」ではなく「山を守るため」と応えたそうです。
つまり、この人の仕事は「木こり」ではなく「山を守ること」なんですね。
木こりはあくまでも名称であって、仕事ではない。
仕事とは「事に仕える」と書きます。
この場合の「事」とは「使命」のようなものかもしれません。
それはつまり「その事を一所懸命にやる」ということ。
前述の木こりの方は、
木こりになりたかったのではなく、
山を守る人になりたくて、
そうなるための仕事として「木こり」を選んだのでしょう。
山を守る仕事は木こり以外にもありますからね。
そして、木こりを続けていくうちに、
山を守るためには何ができるのか?
を考え続け、今では炭を作り、それを売り、そのお金で山の保全をしているそうです。
ちなみにこの炭、ホームセンターで売っている3kg300円とかの炭とは違い、
1kg1000円とかするそうです。それでも需要はあるようです。
確かに、炭によって、焼く食材の美味しさって変わりますからね。
僕も普通の木炭を焼くより、備長炭の方が好きです。
お肉の焼く具合が絶妙になりますからね(笑)
話がずれましたが、
大事なことは「どういう人になりたいのか」をまず考えることかなと思います。
この場合のどういう人というのは、
職業人のことではなく、自分としての在り方、のことです。
職業の「なりたい」は、もしかしたらそれになることが目的になってしまい、
いざなったときには、そこでフィニッシュになってしまうかもしれません。
でも、そんなことはないです。
むしろそこからがスタートですからね。
でも、「どういう人になりたいのか」を自分の中で決めていれば、
職業はそのための手段であり、目的にはなりません。
そうすれば「さぁ、ここからだ」って気持ちになるかなと思います。
例えば、保育士になりたい、と思うのはいいことですが、
自分はどんな人になりたいから、
自分はどんなことをしたいから、
保育士を選択するのか、
というところまで考えてほしいなと思います。
「こんなことがしたい」
だから
「こういう仕事に就こう」
「こういうことを学ぼう」
ということも大事な考え方ですが、
「自分はこういう人になりたい」
だから
「こういうことを学んでいこう」
「こういうことをやっていこう」
そのためには
「この仕事から学んでいこう」
「この学校で学んでみたい」
という考え方のほうが、
学び続けられるし、
成長し続けることができるのではと思います。
というのも…
多様性の時代ですからね、
職業というか仕事なんていうものは、
これからどんどんと作っていくことができます。
十数年前にはなかったような色々な「職業(名)」が増えていますからね。
そろそろ僕も、塾講師という職業名から、
違う職業名に変えようかなぁ(笑)